[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]

 2014年12月に、カリフォルニア州で最大規模の電力会社である米Pacific Gas &Electric(PG&E)社が、78MWの蓄電池の競争入札を開始した。2015年2月末の締め切りまでに、なんと募集の約64倍に相当する5000MW以上の応募があったという。

 PG&E社を含むカリフォルニア州の大手電力会社3社は合計で、2015年中に200MWの蓄電池を落札する予定である。3社による入札は、今後も2016年と2018年、2020年に予定されている。米国でエネルギー貯蔵用の蓄電池の市場が急速に拡大しそうだ。

州政府が蓄電池の設置を義務付け

 カリフォルニア州は、2020年までに再生可能エネルギーによる電力販売比率を33%にする目標を設定している。同州の電力会社は、この目標を予定よりも早く達成できる勢いで太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を進めている。

 しかし、再生可能エネルギーの大規模導入に伴って生じる、電圧変動などの電力系統への悪影響が顕著になってきたため、同州は民間電力会社 3 社(米Southern California Edison(SCE)社、PG&E社、米San Diego Gas & Electric(SDG&E)社)に、2020 年までに合計1325MWのエネルギー貯蔵用蓄電池の設置を義務付けた。州政府が電力会社に対して、蓄電池の設置を義務付ける法律を制定したのは、これが米国で最初の例となった。

 蓄電池の調達義務量は、蓄電池を系統に接続する場所に応じて、(1)送電網、(2)配電網、(3)需要家側の3つに分かれている。送電網や配電網に設置する蓄電池は、いわゆる電力系統用の大型蓄電池である。発電所や変電所に設置し、揚水発電所と同様の役割を担う。つまり、大規模風力・太陽光発電所のように変動する発電機と併用して、変動を緩和したり、出力が一定となるように制御したりするものである。

 これに対して需要家側に設置する蓄電池は、住宅やビル・商業施設や工場などに設置される中規模の蓄電池である。負荷の平準化や太陽光発電などの出力変動の吸収緩和、ピークシフト、災害や非常時に対応したバックアップ電源としての利用が目的になる。