東北のある地域では、仲人さんを「御指南様(ごしなんさま)」と言うそうだ。なんとなく、縁談の指南役という意味がストレートに分る、いい呼び方である。

 そして、この地域では「御指南様の七嘘(ななうそ)」という言い伝えがあると言うから面白い。御指南様、つまり仲人さんが嘘をつくなんて、それも七つもの嘘をつくのだから、興味深い話ではないか。

 そして、なぜ嘘をつくのかその訳を聞いて、私はハタと頷いた。この話は、超開発型の話なのであった。

 どこの国でも地域でも、およそ仲人さんの役割は明確だ。結婚したい人に、その人に相応しい人を選び出し、あるいいは紹介されて、二人を会わせて結婚を促す、つまり、縁談を取り持つということである。

 多分、これもどこの国でも地域でも同じだろうが、仲人さんという人は、かなり、好きでやっている人が多いのではないか。長年、その地域で仕事をしている人で、いわゆる名士と言われる人も多く、中には、校長先生や公務員だった人もおられるようだ。

 言うまでもなく、仲人さんの腕の見せ所は、双方にふさわしい二人をそれぞれ選択し、お見合いの席を設定して、二人を取り持ち、お互いが気に入って結婚に導くことである。