日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「エネルギー」の直近1カ月間(2015年4月28日~5月28日)のアクセスランキングでは、エネルギーの未来を展望する対談「水素社会は切り札論、急浮上の不可思議」がトップになった。
この対談は、ランキングの11位に入っている「日経エレクトロニクス」5月号の特集記事「出番だ、蓄エネ」の内容をキッカケに、川口盛之助氏と山本一郎氏がエネルギーの未来について議論を繰り広げたものである。
盛之助 代表取締役社長の川口氏は、技術とイノベーションの育成に関するエキスパート。一方の山本一郎氏は、投資家/ブロガー/経済ジャーナリストとして、ベンチャービジネスの設立や技術系企業の財務・資金調達など、技術動向と金融市場、各種統計処理や分析業務に精通する。
2人の奇才は、世の中で議論が交わされ、半ば暗黙の共有知になりつつある“常識”に、大いに疑問を投げ掛ける。例えば、水素社会の実現可能性に疑問を呈した。「現状では、よほどうまくやらないと、コストが合わない」との意見で一致する。
2人の議論は止まらない。ランキング5位の「エネルギー問題を、家庭に押し付けるな」へ続いていく。川口氏は「家庭に発電する端末を置いて電気を蓄えて、という発想は、社会全体で見て効率がいいとは思えない」「大きなビルや工場の規模感じゃないと採算が合わない」とする。
この他に、今回のランキングで個人的に興味があるのは、14位の「セラミックスと樹脂のいいとこ取り、リコーの『発電ゴム』」である。リコーは、セラミックス製と同等の発電特性を持ちながら、高分子樹脂製に勝る柔軟性を併せ持つ新規の圧電材料を開発したとする。セラミックス製や樹脂製の圧電材料が抱える課題を解決できれば、多様な分野への応用の道が開ける。ただし、現時点では実験データの詳細などが公開されていない。今後の情報公開に期待したい。