日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「クルマ」において、2015年4月28日~5月28日のアクセスランキングでは「自動運転」に関する記事が3位に入った。
怖いクルマは商品にならない
自動運転に関しては、技術開発や検証が進んでおり、2016年くらいから部分的に導入されることが期待されている。ただ、商品として成立するかという疑問が残っている。
2015年5月に開催した「組込みシステム開発技術展」で基調講演した日産自動車総合研究所長の土井三浩氏は「一瞬でも怖さが残る乗り物は商品にならない」と来場者に本音をぶつけた。走行中に歩行者が道を横切る可能性があるとき、普通の運転者は歩行者に接近するときに減速したり、歩行者から離れて道路中央側に寄ったりして、少しでも事故の可能性を減らそうとする。
もし自動運転車が、このようなことをできない場合、価格が安いとしても商品として成立しないとみる。運転免許を取り立てのころ、同乗者が怖い思いをして「あなたのクルマには乗りたくない!」と言われることに似ている。
テストコースや市街地で走行できたとしても、既存のクルマ同様の安心感がなければ顧客は自動運転車を購入してくれない。
一方で自動運転は、既に実用化しているという見方もある。東京の新橋駅~豊洲駅を走行する「ゆりかもめ」を思い起こして欲しい。クルマのように、1車両にタイヤが4個ついており、センターからの指示を受けてコンクリートの道路の上を走行する。専用の道路を使うので、歩行者や車両が進行方向に進入してくることはない。
自動運転をどう定義するかによって、安心して使えるものともいえるし、まだ不安なものにもなってしまう。消費者は敏感だ。走行レーンなど機能は限定的であっても、消費者に安心を与える自動運転車ができればビジネスチャンスは広がる。