金沢大学 新学術創成研究機構 自動運転ユニット ユニットリーダー 准教授の菅沼直樹氏
金沢大学 新学術創成研究機構 自動運転ユニット ユニットリーダー 准教授の菅沼直樹氏
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 ハンドルやブレーキペダルを持たない自動運転車が、未来の自動車として世界中で話題となり、世界各国で開発競争が激化している。これらの自動運転技術で活用されるのが、さまざまなセンサーから得られた情報を統合的に処理した、センサーフュージョンだ。単一のセンサーでは得られない高度な認識機能を実現できるのが特徴である。センサーフュージョンでは、この統合情報をどのように解析し、運転情報として活用できるかが大きな鍵になる。そこでは、適切な判断を行うためのセンサー情報処理アルゴリズムの開発が不可欠だ。

 日経BP社が2015年6月25日に実施するセミナー「自動車の市街地走行に向けたセンシング技術」では、センサー情報処理アルゴリズムについて解説する(詳細はこちら)。同セミナーで講師を務めるのが、金沢大学 准教授の菅沼直樹氏(新学術創成研究機構 自動運転ユニット ユニットリーダー)である。金沢大学は2015年2月に市街地での自動運転実証実験を開始しており、菅沼氏はこのプロジェクトに取り組んでいる。菅沼氏に、自動運転車におけるセンサー情報処理アルゴリズムの重要性や使いこなす上でのキーポイントなどを聞いた。(聞き手は日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――センサー情報処理アルゴリズムは、なぜ求められるのでしょうか。運転自動化支援に必要なセンシングアルゴリズムの基礎理論から、自動運転に向けたさまざまな応用技術を習得する効果をご紹介ください。

菅沼氏 自動車の自動運転を行うためには、周辺環境の認識が最も重要となります。一方で、各センサーには利点や欠点があります。例えば、自動運転に最もよく使用されているレーザーレンジファインダーであれば、精度よく障害物の位置・形状などを計測できる一方、移動物体の動きを計測できないといった問題などがあります。

 また、各センサー単独では信頼性(ロバスト性)に欠けるといった問題があります。このようなときに、複数のセンサー情報を組み合わせて情報統合を行う高度なセンサー情報処理アルゴリズムが必要となります。

 本セミナーでは、このようなセンサー情報処理を行うときに最も基本的かつ多用されるカルマンフィルターを中心として、アルゴリズムを解説します。

――センサー情報処理アルゴリズムは、今後ますます必要とされるようになるのでしょうか。

菅沼氏 自動運転において、センサーから得られたデータ処理・解釈を行うアルゴリズムが、最も重要かつ困難な技術分野の1つとなります。このため、センサー情報処理アルゴリズムが今後ますます必要不可欠な技術の1つとなることが想像されます。