――具体的に、どのように簡単になるのですか。

 再び、単位円周上の回転振り子のイメージを思い出しましょう。三角関数の部分は角度θで決まる振り子の位置を示したもので、eで表現することができます。ここでは、電圧や電流の三角関数がei(ωt-φVやei(ωt-φIを用いて表現できます。そして、それぞれに振幅の√2 Vrmsや√2 Irmsが掛かっているわけです。

 このオイラー表記を使うと、インピーダンスZは図4のように計算できます。指数関数の割り算は、指数の部分を引き算すればいいですよね。三角関数の割り算に比べると非常に簡単です。

図4 三角関数の割り算にオイラーの式を利用
指数関数のオイラー表記を用いると計算が楽になる。
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 インピーダンスZは、周波数によらず一定の抵抗成分Rと、周波数によって変化するリアクタンス成分Xから成ります。Z=R+jXと表現できます。図4のインピーダンスZの計算結果を見ながら、もう一度、単位円周上の回転振り子と「e(e)」を思い浮かべましょう。すると、振り子の位置を横軸に投影したcos(φI-φV)に振幅を掛けたのが抵抗成分Rで、縦軸に投影したsin(φI-φV)に振幅を掛けたのがリアクタンス成分Xだと分かります。なお、計算上の円の半径はVrms/Irmsです。

――次回に続く――