――虚数単位や複素表示を用いる電磁気学の式に「オイラーの式」があります。「e=cosθ+i sinθ」という式です。これについても、理解しにくいという声をよく聞きます。

 まず、オイラーの式の「e」や「cosθ+i sinθ」は、単位円周上を回る振り子の位置を示したものと理解するのがコツです。この位置をxy座標で表すと、x座標はcosθ、y座標がsinθとなります(図2(a))。ただ、このようにxとyを分けて考えると、式での計算が難しくなってしまいます。

 そこで、振り子の位置を「e」とシンプルに示したのが、オイラーの式の指数関数表記(オイラー表記)です(図2(b))。3つの文字で重要なのはθだけです。単位円周上の振り子の位置は角度θで決まるからです。「θがeという記号の右上、iの右に乗っかっている」ことを意識するのがポイントです。

図2 オイラー表記
オイラー表記は単位円周上の点の位置を示したものである。
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 eとiについては、「単位円周上のポイントを表しているマーク」という程度に覚えていれば十分です。「eは自然対数の底であり、その値が2.718から始まる無理数である」ということを覚える必要は全くありません。