最近、何人かの知人に同じ質問をされました。「ところで、前に言っていたリアル何とかだけど、今どうなっているの?」。「リアル何とか」というのは、我々日経BP社が中心になって広く参加者を募り、実際にモノやサービスの開発を進めていくプロジェクト「リアル開発会議」のことです。2014年春の立ち上げから1年余りが経過し、「面白い取り組みだと思って、ずっと気になっていたんだよ」と、冒頭の質問をいただいたというわけです。これはきっと、私の知人ならずとも、リアル開発会議に少なからず関心を示された方の多くに共通する質問ではないでしょうか。

 リアル開発会議は、ホームページに掲載している開発No.001~007の6テーマに、同008「温度発電素子」と同009「遠隔診断システム展開プロジェクト」の2テーマを加えて計8つの開発テーマがあり、既に1テーマが終了しています*。残る7テーマについて、「全てが順調に進んでいます」とご報告したいところですが、そこは文字通りリアルな開発の場、開発テーマによって山あり谷ありいろいろなステージがあります。

* 開発No.001~007で6テーマというのは、同No.003「食の部品化プロジェクト」と同004「フィールドモニタリングシステム」を統合して同No.003「地産多少トレーサビリティー」としてまとめたため。また、既に終了した1テーマというのは、同007「超小型アクチュエーター応用プロジェクト」です。

 その中で先行しているのが、開発No.001「発電服『電服』」と同005「全自動調剤監査システム『ドラッガー』」です。いずれも、要素部品の試作などのステージに入りました。実は、この段階でリアル開発会議ならではのコラボレーションが生まれています。ある要素部品の試作を検討していたある日、リアル開発会議を主催する我がK編集長がパッとひらめきました。「ひょっとすると、あっちのリアル開発会議に参加している、あの企業のあの技術を使えば、非常に効率の高い要素部品が作れるのではないか…」と。早速、連絡して事情を説明し、協力を依頼したところ快く承諾。後日、K編集長が研究所を訪問し、試作のことを相談すると、「なるほど、それなら…」と、協力メーカーを紹介していただきました。現在は、そのメーカーに試作をお願いしているところです。

 ここまで読まれて、「具体的な話がなくて分かりにくい」と、おっしゃる方がいるかもしれませんが、ご容赦ください。電服、ドラッガーに限らず、リアル開発会議では日経BP社も含めて参加企業間で秘密保持契約を締結して開発を進めています。それ故、ここでお話し出来る内容にも限りがあるのです。