波動方程式、オイラーの式、マクスウェルの方程式――。電磁気学を理解することは、交流や無線通信を扱う上で欠かせない。しかし、いくら教科書を読んでも、理解することはなかなか難しい。さまざまな数式や方程式を前にして、ただひたすら暗記に頼った読者も多いだろう。この電磁気学を、一般的な教科書とは異なるアプローチで分かりやすく解説してくれる講師として好評なのが、日経BP社の技術者塾で「アンテナ設計の基礎」を教える根日屋英之氏(アンプレット 代表取締役社長)である。根日屋氏に、電磁気学を理解するための極意を聞いた。

――電磁気学は苦手だという話を、技術者や学生からよく耳にします。私も学生時代に、さまざまな数式を前にして、意味も分からず暗記して試験に備えた記憶がよみがえります。電磁気学を理解するためのコツは。

 さまざまな数式や方程式がありますが、そうした数学と物理現象を頭の中で結びつけられると、電磁気学が簡単に理解できるようになります。波動方程式やマクスウェルの方程式も恐れるに足りません。

――具体的には、まず、何をすればいいのでしょうか。

 まず、頭の中に半径1の単位円を思い描きましょう(図1)。その円周上に振り子が回転しているイメージを持つと、波動方程式、オイラーの式、マクスウェルの方程式のすべてが簡単に分かるようになります。

 半径1の単位円の直径は2、円周の長さは2π。この1周の長さが2πということが大切です。数学の視点では、単位円を振り子が1回転すると「360度回転した」と言います。物理の視点では、これを長さで考えます。つまり「2πラジアン進んだ」と言います。ここに物理と数学の接点があります。360度が2πラジアンなのです。

図1 半径1の単位円を頭に描こう
単位円を描くことで、数学と物理が結びつくようになる。
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