――電磁気学の教科書で波動方程式が出てきます。暗記はできますが、意味を理解しにくいという声をよく聞きます。

 単位円の1周が2πであることを頭に入れておくと、電磁波や交流を扱うときに用いる波動方程式は簡単に理解できます。

 先ほどお話ししたように、単位円周上を回転する振り子は、1周ごとに2πの道のりを進みます。ここで、1秒間に振り子がf回転する場合を考えてみましょう。このfを周波数と呼びます。このとき、振り子は2π×fの道のりを進みます。この1秒間に進む道のりを角速度と呼び、記号にはωをよく使います。「ω=2πf」という式の物理的な意味は、ここにあります(図2)。

図2 周波数fと角速度ω
1秒間に回転振り子がf回転すると、その振り子が動いた距離ωは2πfとなる。ここで、fを周波数、ωを角速度と呼ぶ。
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 ここから、波動方程式について解説します。我々は「道のり=速度×時間」という関係式を小学生のときに習います。これを波動方程式で表してみましょう。速度は、1秒間に進む回転振り子の距離、つまり2πfです。t秒間だと、2πf×tの距離を進むことになります。