日本の本当の強みとは何か。『メガトレンド2015-2024 ICT・エレクトロニクス編』(日経BP社)の著者である川口盛之助氏と山本一郎氏は、これまで蓄積してきた技術やノウハウの本質をグローバルな視点で見極めることが大切と説く。
 「日経エレクトロニクス」の記事を肴に産業界や社会の将来像を語り合う対談の第3回。今回は同誌5月号の特集記事「大学発世界企業」をテーマに、大学発のハードウエアベンチャーブームの背景と、その本質に迫る。

(司会は、今井拓司=日経エレクトロニクス編集長)

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川口 水素貯蔵は、最後の手段だよね。そこまで困っているのかという状態になったときの。ほかにやるべきことがもっとあるでしょう。例えば、熱だけでもいろいろとやることがあって、アナログ技術を積み上げるだけでかなりのことができるはずです。

今井 今回の蓄エネ特集(「出番だ! 蓄エネ」)は、家庭というよりも、大規模な事業所向けの技術を多く取り上げました。

投資家/ブロガー/経済ジャーナリストの山本一郎氏(左)、盛之助 代表取締役社長の川口盛之助氏(右)(写真:加藤 康)
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川口 ここで取り上げた技術は、災害などのイレギュラー対応というよりも、社会全体のエネルギー効率を高めるためのものなんでしょう?

今井 そうですね。どういう配分になるかについては、これからの検討になるんでしょうけれど、ある程度は再生可能エネルギーを入れていかざるを得ない。そのときには、畜エネ技術が必要なので、今からきちんと考えておきましょうという話です。

川口 特集記事の中で出てくる「列車を使った位置エネルギー貯蔵技術」というのは、何かまた鉄道ファンが喜びそうな新しい世界が広がってるね(笑)。

山本 登坂用のケーブルカーみたいな。歯車つきの。

川口 そうそう。スイスから輸入しましたという感じだと素敵です。

山本 超喜びそうですね。

今井 列車の取り組みの「場所をとらないバージョン」が、フライホイールということですね。

山本 うーん。何だか、いまいちロマンがないですね。

川口 列車も地震になったら脱線しそうだけどね…(笑)。