川口 フライホイールも、蓄熱も技術は昔からあって、知の蓄積がある中で粛々と研究開発が進んでいたんだよ。
山本 「蓄電池か、別のエネルギーか」という二つの軸で蓄エネ技術の開発が進んでいる中で、水素という全く違うベクトルの話が出てきました。
川口 そういう意味では、これは国家戦略なんでしょう?
山本 そう言いたいところなんですけど、詳しく話を聞くとそうでもないように思うんです。いま、私どもの会社ではスマートグリッド技術関連の仕事をいくつかやっていて、その際たるものは統計分野での需要予測とかなんですが、その関係で関連省庁の担当者に「水素って、国策なんですか」と聞いたら「いや、そんなつもりはないんです」と(笑)。
川口 得意の責任者不在の行動なんでしょうかね。大きな場面で「水素」の話は、ずいぶんと出てくるようになりました。
山本 実際、現場で聞く話は、特に「水素だから」という話ではなくて、「経済合理性があれば、民間企業で検討して採用していただだければいい」という感じです。でも、そんなことをやりそうな企業は限られています。資本が必要だし、システム全体をハンドリングするにはどうしても規模がないといけません。「水素スタンドのようなものをたくさん助成金を出してつくっていく方針なんですか」と聞いても、そういう手形は切ったつもりはないようです。誰がやろうとしているのか、いまいちよく分からないという印象ですね。
今井 では、国としてどれかに決めたわけではないということなんですか。
川口 そういえば、先日も東芝のニュースが出ていたよね。コンテナのやつ。
山本 出てましたね。
今井 それは、どういう?