今回は、同誌5月号の特集記事「出番だ! 蓄エネ」をテーマに、エネルギーの未来を展望する。ここにきて、エネルギー問題を解決する切り札として急浮上してきた「水素社会」、そして太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーのブーム…。2人の奇才は、世の中で議論が交わされ、半ば暗黙の共有知になりつつある“常識”に、大いに疑問を投げ掛ける。
今井 日経エレクトロニクスの5月号は、「出番だ! 蓄エネ」と題して「エネルギーをいかに蓄えるか」について特集しました。太陽光発電などの再生可能エネルギーは結局、既存の電力会社が保有する電力系統につなぐと不安定になってしまうので、どこかに一時的にためておかなければなりません。そのための技術にフォーカスしたんです。もちろん、誰がコストを負担するのかという点は、まだハッキリしていないところはありますが。
山本 昔はNaS電池が切り札と言われていましたね。フライホイールとの合わせ技でやるというようなシステム提案があった。もちろん、当時はそれが合理的な内容だったのは間違いないんですが、簡単じゃないですよ。
今井 そうですね。一応、ここに候補となる技術の図があります。
山本 この図、よくできていますね。
今井 そうですか。ありがとうございます。結論としては、すみ分けていくという感じです。
山本 「水素貯蔵」が切り札と言われてしまうと、何もできなくなるんですよ。水素は大設備産業だし、装置としてスケールするので、企業としてはみんなそっちをやりたいのだと思うんですけど。
川口 やりたいから「水素がいい」と言っているだけじゃないかな。必要だから、言っているのではなく。