日経BP社が企画したアナログ設計連続講座についての本連載3回目では、「アナログ回路用MOSFET」を設けた狙いや受講効果を紹介する。今回も、監修者である群馬大学 教授の小林春夫氏に語ってもらう。同氏の経験によれば、MOSFETの挙動を基本的なところから理解することで、アナログ回路の設計スキルが格段にアップするという。(聞き手は日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――「アナログ回路用MOSFET入門~静特性および小信号特性を一日で理解する~」を企画された意図を教えてください。MOSFETはとてもシンプルな素子ですが、アナログ回路の設計スキルを高めるためには素子レベルの特徴をしっかりと身に付けておくべきということでしょうか。

小林氏 まさにそういうことです。私自身の経験でもあります。私はもともと回路やシステム運用、アルゴリズムが専門領域でした。近くに半導体デバイスの研究者がいたことで、アナログ回路設計において相乗効果が出せました。半導体デバイスや半導体プロセスの技術者と交流すると、回路技術者はとても良い刺激を受けます。半導体デバイスをある程度知っておかないと、優れた回路設計はできないと実感しています。

――小林先生自身の経験から、半導体デバイスやプロセスを知っておく価値は大きかったということですね。

小林氏 はい、そうです。講師として登壇いただく松田順一氏(群馬大学 客員教授)はもともと回路設計ではなく、半導体デバイスやプロセスが専門でして、回路設計者とは視点が違うところがあります。その視点の違いが回路設計者にとってプラスに働きます。松田氏には長年、群馬大学で講義を持っていただいています。さらに回路設計のグループとの交流により回路設計者は良い刺激を受けています。