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HOME電子デバイスSCR大喜利 > ソリューションの提案こそがリーディング企業の役割――大型M&Aの深層

SCR大喜利

ソリューションの提案こそがリーディング企業の役割――大型M&Aの深層

【強い半導体メーカーがM&Aに走り始めた理由】三ツ谷翔太氏

  • 2015/05/18 00:01
  • 1/3ページ

 新市場の創出や成長が見込まれる分野で、強い半導体メーカーがかかわるM&Aが目立ってきた。

 2015年1月には、Infineon Technologies社がInternational Rectifier社の買収を完了し、パワー半導体の分野に巨大企業が生まれました。パワー半導体の分野でのシェアは第2位の三菱電機の約2.5倍になる。自動車や産業の分野で強いInfineon社、ICTや民生機器で強いIR社と、単に規模が大きだけではなく得意な市場も相補的であるとも言われている。加えて、Si系、SiC系、GaN系とパワー半導体を実現する技術の引き出しも多様になった。

 一方、3月には、NXP Semiconductors社がFreescale Semiconductor社を合併することで合意したと発表した。この合併が成立すれば、自動車用半導体製品と汎用マイクロコントローラー(MCU)の分野で、世界トップの企業が生まれることになる。セキュリティー向けチップで急伸しているNXP社が、MCUと無線通信の技術を大幅に強化した先には、IoTという新市場を攻略したいという意図も見え隠れする。

 極めつけが、同じく3月に米国のメディアが報じたIntel社がAltera社の買収に向けて交渉中であるという報道。価格面で折り合わず、既に交渉が決裂したという続報も出ているが、データセンター向けチップの市場やファウンドリー事業の安定化など、その動機を探るさまざまな憶測が飛び交った。次世代の成長市場の獲得に悩む巨人と、将来が楽しみな応用市場を多く保有する企業の組み合わせは、新しい潮流を感じさせる。

 今回の大喜利では、こうした強い半導体メーカーによる大型M&Aの背景には、現在の半導体業界に流れるどのような潮流があるのか、回答者の皆さまのご見解をお伺いすることを目的とした。
最初の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。

三ツ谷翔太(みつや しょうた)
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル
三ツ谷翔太(みつや しょうた) 世界最初の経営戦略コンサルファームであるアーサー・D・リトルにて、エレクトロニクス産業を中心とした製造業に対する新規事業戦略・研究開発戦略・知財戦略の立案支援、ならびに経済産業省を中心とした官公庁に対する産業政策の立案支援に従事。

【質問1】元々強い半導体メーカーが、なぜ今M&Aに走っているのでしょうか?
【回答】特定の顧客・用途に対する、顧客接点とノウハウのさらなる集積

【質問2】現在の一連のM&Aの類似例を過去の半導体業界で探すと、どのような事例が挙がりますか?
【回答】根底にあるのはイノベーションメカニズムの変化。過去の例とは一線を画す

【質問3】強いメーカーが進める規模の拡大や機能の強化は、半導体業界の構造や勢力図にどのような影響を与えると思われますか?
【回答】影響先は顧客産業であり、そのシステムイノベーションを後押し

【質問1の回答】特定の顧客・用途に対する、顧客接点とノウハウのさらなる集積

 ともにパワー半導体に強みを持つInfineon Technologies社とInternational Rectifier社の統合によって、パワーという用途領域においてSi系、SiC系、GaN系といった一連の技術セットを取りそろえた、大型プレイヤーが誕生した。この統合によって、Infineon社はその網羅的な技術と知見をテコに、パワー領域において、いかなる産業ユーザーの悩みにも応えられるプレイヤーへと進化した。

 また、ともに自動車分野に強みを持つNXP Semiconductors社とFreescale Semiconductor社の統合は、自動車における無線通信系と情報処理系、制御系と、まさに自動車の電装の一連を取り揃えたプレイヤーの誕生につながる。この統合によってNXP社はコネクテッドカーからADAS(先進運転支援システム)まで、自動車メーカーの進化を支えるパートナーとしての存在感を強めることだろう。また、今後の動向に注目が集まるIntel社とAltera社の統合は、データセンターに対する大型プロバイダーの登場を意味するものになりうる。

 つまり、これらの動きは過去にしばしば見られた弱者連合の動きや、規模追求の動き、先端技術などに対する投資余力確保の動きとは一線を画すものだ。具体的には、特定の顧客・用途に対して、ともに強い顧客接点や深い分野ノウハウ・技術といった無形資産を持つ企業が統合し、その分野に対する経営資源のさらなる集積を強めている動きであると言えるだろう。

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