企業が経営不振に陥るのは、「決められない経営」すなわちイノベーションを継続できない経営の結果である。こんにち経営不振に陥っている企業の代表例は、2015年3月期の連結最終損益が2000億円を上回る赤字となったシャープ(創業1912年)であろう。一時期は、亀山モデルのブランドで液晶テレビの代名詞といわれ、世界トップブランドにまで成長し高業績を出したものの、4年後には不振に転落したのである。

 2008年のリーマン・ショックの影響も大きいが、その後も新製品が液晶の不振を補えず、今日の状況を招いてしまった。経営陣や研究開発部門だけでなく、マーケティングや商品企画部門も含めて、新製品・新事業の企画、プロジェクトの立ち上げ、追加投資のタイミングなどの決定が的確でなかった、という“決められない経営”の結果であることは明白である。

 しかしこのような状況は、どのような企業にとっても起こり得る。我が社には無関係と思っていても、「明日は我が身」になることを否定できるだろうか。シャープだけではない。日本の“ものづくり”や技術力の強さを、世界的に生かしきれていない背景の一つには、「決められない経営」がある(「日経ものづくり」2015年1月号「日本のものづくりの強さ」調査結果)。「決められない経営」を変革するには、経営陣の強い意志とイノベーションを継続させるルールづくりが不可欠なのである。

 このことを、ファナックとグーグルの例から探ってみよう。