ソニーが積層型CMOSイメージセンサーの生産能力増強に力を入れている。2015年2月に1000億円を掛けて設備投資を行うと表明したのに続き、同年4月にも450億円の追加投資を発表。これにより同社の生産能力は現行の単月6万枚から2016年9月末時点には8万7000枚にまで増強されるという。

 生産能力を増強する理由として同社は、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末などモバイル機器市場における需要増が見込まれることを挙げている。

 こうした中、スマホ市場の分析で定評のある中国人の2人のアナリストが、ソニーのCMOSイメージセンサーをテーマに書いたブログが中国や台湾で注目を集めている。

 このアナリストは孫昌旭氏と潘九堂氏。孫氏は中国のIT情報サイトでシニアアナリストを務める女性で、中国のミニブログ「Weibo」(微博)に開設しているサイトには23万人のフォロワーがいる。一方の潘氏は、中小零細の電子部品業者が集積し「中国の秋葉原」と呼ばれる広東省深センの華強に拠点を構える調査会社で携帯電話と電子部品のアナリストとして活躍している人物だ。

 口火は先ず孫氏が切った。2015年5月1日に発表したブログで、これまでも供給不足とされていたソニーのCMOSイメージセンサーが同年4月に入っていよいよ品薄になり、中国系のスマホブランド会社は上位10社がいずれも必要量を調達できずにいると指摘。5月はさらに深刻で、各社とも一体どれだけの数を確保できるのか不明な状態にあり、供給が寸断される恐れもあるとした。その上で、各社とも調達先を韓国Samsung Electronics社や米Omnivision社にシフトすることで動いているが、調整には少なくとも2~3カ月の時間が必要だと指摘。結果、5月に今年の旗艦モデルを出す予定だったスマホブランド会社は、半年かけてその他の部品・材料の準備を全て整えたのに、CMOSイメージセンサーのみが揃わないため、材料を保管するコストがかさんでいると紹介した。

 さらに孫氏は、スマホの中国系各社の具体的な調達状況についても言及している。それによると、シェアでトップ3にあるXiaomi社(小米科技)とHuawei社(華為)が必要量の50%、両社の下位にあるGionee社(金立)、CoolPAD社(酷派)、ZTE社(中興)、Oppo社(欧珀)は10~30%の確保にとどまっており、その他の小規模ブランドは、調達が一時滞る恐れがあるとの見方を示した。