本稿では、自動車の運転者(ドライバー)や乗員の状態を検出する車室内センシングシステムの市場動向を解説する。ドライバーや乗員の状態検出技術は、高度な自動走行技術の実現や新しい付加価値の創出に向けて、自動車のHMI(human machine interface)の一翼を担う要素として期待を集めている。

 車室内センシングシステムの用途は、センシングの対象範囲やシステムの使用目的に応じて多岐にわたる。このうち本稿では、ドライバーをセンシング対象とするシステムに限定し、特に安全系の目的に使うドライバー状態検出技術に焦点を当てる(図1)。

図1●本稿における「車室内センシングシステム」の対象範囲
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車室内センシングシステムの分類と概要

 以下では、車室内センシングシステムを3種類に大別し、それぞれについて分析する(図2)。

 (1)ドライバーモニターは、主に近赤外カメラ(カメラ+近赤外LED)によるシステムで、ドライバーの状態をモニターする。眠気や疲労、脇見などの走行中の運転リスクを検知し、走行の安全性を高める。

 (2)生体信号活用システムは、人の生体信号を取得してドライバーの状態を推定する。さまざまなアプリケーションが考えられるが、安全用途ではドライバーモニタリングシステムに組み込み、ドライバーの覚醒度を検出する用途が有望だ。

 (3)アルコール検知/インターロックは、飲酒運転防止を目的にエンジンをスタートさせる前に機能するもので、法的規定を超えたアルコール摂取状態を検知する。

図2●車室内センシングシステムの分類
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