本質に準じる経営を


 世の中、すべからく役割分担であるように、企業、顧客、従業員、サプライヤー、投資家などのステークホルダー(利害関係者)によって形成されるビジネス・コミュニティの活動も役割分担だ。つまり、投資家と経営者の間はもちろん、企業と企業(親会社と子会社を含む)、上司と部下の間にも顧客の役に立つための役割分担がある。

 そして、単純な話だが、投資家はお金を活かすことで顧客の役に立ち、経営者は人を活かすことで顧客の役に立つことが、投資家と経営者の役割分担である。我々は、このことに準じる経営をすればいい。

 そう最初に私に教えてくれたのは、投資家でありながらも社内では経営者としての姿勢を徹底的に貫いておられた、ソニー創始者の井深大さんと盛田昭夫さんに他ならない。

 今のソニーは、事業ユニットの経営の自立を高めようとしているわけであるが、そもそも、投資家視点を重視した経営は、投資家から自立した経営ではない。また、流行りものの経営手法に依存する経営も自立した経営ではない。そのことに、ソニーはどれだけ気づいているのだろうか。