日本の新生児医療は世界最高水準

新生児は通常、在胎週数(胎児が母親のお腹の中にいる期間、妊娠週数)37~42週未満で母親のお腹から出てくる。

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 これよりもお腹の中にいる期間が短いと「早産児」(在胎37週未満)、長いと「過期産児」(在胎42週以上)という。新生児のからだは、母親のお腹の中に40週前後いることで、外の世界に出てくる準備が整う。そのため在胎37週未満で生まれてきた場合は、からだの機能が未熟なことがある。総出生数に対する早産児の割合は約5~6%、20人に1人くらいの新生児が早産児で生まれてくる。

 早産児のなかでも在胎34週以降に生まれた新生児は、比較的、機能も体重も正期産児に近く、特別な医療的処置をする必要のない場合もあるが、注意深い観察が必要となる。在胎30週未満の早産児は、体重も約1500グラム未満でからだの機能も未熟な場合が多いため、十分に発達するまでNICUと呼ばれる新生児集中治療室で養育・治療を受ける。

 NICUはNeonatal Intensive Care Unitの略、早産による低出生体重児、呼吸や心臓などに病気がある新生児を、感染症から守り、呼吸や心拍、体温を管理する機器や設備が整っている。その中で、新生児を専門に治療する医師や看護師が24時間体制で対応している。

「懸命に生きようとしている小さな生命(いのち)に向き合い、最新の治療を行うだけではなく、その未来に思いを馳せ、家族とともにいつくしみ、はぐくむ場」。それが、NICUが果たすべき役割である。「いま、この児たちの未来を預かっているのだ、という思いで、小さな生命(いのち)に向き合っている」と、NICUで働く医師や看護師はいう。

 いまでは新生児医療の進歩により、在胎28週未満の超早産児(出生体重が約1000グラム未満)でも、死亡や重度の障害が残る確率は格段に減少している。

 NICUなどの医療現場で働く医師や看護師などの献身的努力により、日本の新生児医療はつぎの4点の特長を持つ。

  • 日本の新生児医療はハイリスク児の増加にも関わらず予後は向上を続けている。
  • その結果、世界最高水準の新生児死亡率を過去20年以上維持している。
  • この効果は日本人の平均寿命の長さにも表れている。
  • この世界最高水準の新生児医療は、多くの医師、資源を必要とすることなく達成している。

(「日本の新生児医療の現状、課題そして対策」東京女子医科大学母子総合医療センター 楠田聡)

 妊娠22週から出生後7日までの期間を周産期といい、この時期の母体・胎児・新生児を総合的に管理して母と子の健康を守るために、産科と新生児科とを統合した医療。それが周産期医療だ。

 日本において「世界最高水準の新生児死亡率」を達成し、「世界最高水準の新生児医療」が保たれている現状に、大きく寄与している医療機器メーカーがある。その名は、アトムメディカル株式会社。東京都文京区に本社を置き、周産期医療機器の開発一筋に力を注ぎ、新生児・未熟児用機器、産科婦人科用機器を中心とした医療機器の製造・販売を行う。

 年間5000億円もの貿易赤字を出している日本の医療機器市場では、海外メーカーが圧倒的優位を占めている。あらゆる医療現場に外国製品があふれている状況下で、アトムメディカルは国産医療機器メーカーとして、保育器分野で国内シェア85%以上を維持する貴重な存在である。