2013年の今シーズンは基金活動開始から6年目となる。NICUに入り成長した子供たちを、「NICU卒業生」と村田選手は呼ぶ。打点基金の積み立てとともに、NICU卒業生とその家族、NICUで働く医療関係者を東京ドームに無料招待する「NICU野球親睦会」を毎年行ってきた。

 このほかに今期から新たなチャリティーグッズが加わった。「絆」の文字がプリントされたオレンジ色のリストバンド(定価500円)が、グッズショップで販売されている。収益金は全額、新生児医療の支援に充てられる。「昨年、支援にご協力頂いたファンの皆さま、本当にありがとうございます。新生児医療の現状を出来るだけ多くの方々に知っていただき、支援の輪がさらに広がればうれしいです。今年も全力プレーを通し、子供たちを少しでも元気づけたいと思います。引き続き、皆さんのご協力よろしくお願いします」とのコメントが、開幕にあたって球団を通して発表された。

 昨年の2012年、村田選手は全試合出場を果たし、三塁手としてベストナイン賞を受賞したが、もう一つ「若者力大賞」という賞に選ばれている。「若者力」とはなにか。同賞を授与する公益財団法人日本ユースリーダー協会によると、「若者ならではの自由な発想力とチャレンジ精神をもって、社会をより良くするために自らアクションを起し、人々の行動に影響を与えていく活力」。村田選手への顕彰理由は「自身の経験から、新生児集中治療室NICUへの支援・普及活動に地道に取り組んでいる」。

新生児医療の現状を広く知ってほしいとの意図で出版された『がんばれ!!小さき生命(いのち)たちよ――村田修一選手と閏哉くんとの41ヵ月』(TBSサービス刊)の表紙カバー。

 受賞の契機となった1冊の本がある。『がんばれ!!小さき生命(いのち)たちよ――村田修一選手と閏哉くんとの41ヵ月』(TBSサービス刊)。冒頭の文はそこからの引用だ。この本を出版した意図について、村田選手はつぎのように記している。

「親は子どもを選べないけれど、子どもは親を選んで生まれてくるという話があります。息子は自分と嫁のことを選んで、『この両親だったら、必ず僕を大きくしてくれる』と思って、飛び込んできてくれたのだと思っています。その息子に応えるために、その一心で野球選手としても、がんばってやってきました。

 息子への感謝、NICUに携わっている医療者の方々への感謝が、自分を新生児医療応援活動に向かわせました。この本を通して、そういった自分の思いや新生児医療の現状を広く知っていただければと思っています」