ヘルスケア事業への参入に際し、どこが狙い目なのかは、産業界にとっての最重点テーマといっていい。今回紹介する企業は、新規参入という位置づけにありながら、一見すると意外なパラメータに目をつけて睡眠管理を実現しよう、というユニークな課題に取り組んでいる。

“敢闘賞”の意味するもの

 先の「MEDTEC Japan 2015」(2015年4月22~24日、東京ビッグサイト)では、慣例どおり「MEDTECイノベーション大賞」の選考が行われた(関連記事)。ここで筆者が注目したのが、敢闘賞を受賞した「スリープスコープ」。脳波を利用した睡眠評価システムだ。

 このシステムは、大阪のベンチャー企業であるスリープウエル(吉田政樹社長)が2年ほど前に医療機器としての認証を受けた製品で、脳波1チャネル測定により睡眠の評価を可能にしたアイデアが盛り込まれている。

「スリープスコープ」取扱説明書の表紙から
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 敢闘賞の授賞理由は、「基礎研究から少人数でベンチャーを立ち上げ意欲的に取り組んでいる」というもの。大企業でも二の足を踏むようなテーマに対して、果敢に挑戦していることが評価の主旨だろう。

 その基盤となる綿密な基礎研究と同時に、少人数でありながら「製造販売業」という法制上の壁を乗り越えた事実が、今回の華やかな受賞の舞台裏に隠されている。“敢闘賞”として選出した審査委員でさえ、そこまで読み切るのが難しかったのでは、とも推測しているが…。

 ともあれ、発表結果を知ったとき、この敢闘賞は一研究テーマとして、一認証取得医療機器例として、それに、一つの未来のヘルスケア機器例としても重要な意味を持っている、そう感じた次第である。