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技術力とマネジメント力を両立

 2003 年から2006 年まで、私は富士通の子会社である富士通プライムソフトテクノロジーにおいてトヨタ自動車の方の指導を受け、「ホワイトカラーの職場における改善活動」を立ち上げて実践しました。この時、ソフトウエア開発の現場で、トヨタ生産方式(TPS)の実践と研究を試みました。この経験を通じて多くのことを学ぶことができました。

 最大の成果は、「マネジメントの正しい原理を理解し実践することでホワイトカラーの職場を活性化すれば、生産性は向上する」ということを、身をもって理解できたことです。

 トヨタ流マネジメントに関して皆さんに伝えたいことは大きく分けて2つあります。1つは、事業は技術だけでは成り立たないということです。会社や組織が「マネジメントの標準」を持ち、技術を必要な時に必要なだけ活かすことができるかどうかで、成果に大きな違いが出ます。管理者は、チームメンバーの技術を磨くことはもちろん大切ですが、それと同じくらいかそれ以上の重みで、マネジメント力が重要であるという原理を理解していなければならないと、私は考えています。

 2つめは、人が本質的に望んでいる状態(成長したい、人の役に立ちたいなどの気持ち)に近づくために改善をすれば、会社や組織は大きく変われるということです。私はホワイトカラーの職場の活性化と経営的成果に貢献できる「改善塾」の実践を通じて多くの会社と向き合ってきました。その中で、会社の組織文化・風土を変えてきた経験を伝え、品質や生産性向上につながった事実を紹介しています。また、ボトムアップで職場が変わることはできても、最後に組織全体、会社全体が変われるかどうかは経営者にかかっていることも併せて話しています。