図1 半導体産業研究所(SIRIJ)所長 福間雅夫氏(撮影:日経BPクリーンテック研究所

 半導体産業研究所(SIRIJ)は2015年3月24日、「2014年スマート社会を創るイノベーション創出に向けて」と題する資料を発表した。SIRIJは、2010年ごろからスマート社会の到来に注目し、社会的課題解決のために異業種との連携を模索してきた。

 その活動もあって、日本の半導体メーカーと異業種が共同して、スマート社会のビジネスを創出する取り組みが、まずは自動車から始まっている。同資料の内容を中心に、SIRIJの活動およびスマート社会戦略について、所長の福間雅夫氏に聞いた(図1)。

共通する6つの技術の方向性

 「半導体は高齢化や環境問題など顕在化し始めた社会的課題を解決するためのキーデバイスになる」と福間氏はそれまでの調査から見ていた。そこでSIRIJは、2011年に半導体メーカーだけでなく、異業種の企業を加えた協議会を立ち上げた。異業種を加えたのは、社会的課題に直面している異業種の意見が必要だったからだ。

 自動車やエネルギー、医療、セキュリティーなどの分野で活躍する企業に参加してもらい、どうしたら社会的課題が解決できるのか、議論を重ねた。

 その議論を通じて、スマート社会戦略を支える技術の方向性で共通するものを6つにまとめた。(1)意味理解、(2)無給電、(3)100年耐久、(4)自己成長、(5)小型化、(6)インターオペラビリティ/ディペンダビリティ――である。これは、スマート社会を構築するために必要な機能とも言える。