来る4月30日、いよいよ最強王者が誕生します。東京電力と中部電力は4月15日に会見し、燃料調達と火力発電部門を統合した共同出資会社JERA(ジェラ)の詳細を明らかにしました。この新会社が、2016年4月に控える電力自由化に向けて、台風の目になる企業の1つであることは疑いようがありません。

4月15日に開催したJERA設立会見の様子。左から中部電の水野明久社長、JERA社長につく中部電の垣見祐二氏、会長につく東電の内藤義博氏、東電の廣瀬直己社長
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 新会社設立会見の席上で、新会社の会長に就任する東電の内藤義博氏は「エネルギー獲得競争を勝ち抜いて新時代を作っていく。日本のエネルギーを新しい時代へという思いを社名に込めた」と語りました。新社名のJERAは、「JAPAN(日本)」や「ERA(時代)」を組み合わせています。

 長らく地域独占の中で生きてきた電力会社にとって、東電と中部電の新会社設立はエポックメイキングな出来事でしょう。自らの供給エリアを乗り越えてビジネスを展開したり、合従連衡したりするというのは、3.11前の不文律を踏み越える大きな決断だからです。業界内の長男的な存在の東電と三男坊の中部電が手を組むことが、手堅い事業スタイルを続けてきた他のエネルギー会社にどれだけ大きな衝撃を与えたのか、想像に難くありません。

 実際のところ、東電と中部電の提携話が飛び出したばかりのころは、「どうせうまくいくはずがない」「新会社を作るなんて無理な話」と漏らす関係者が少なくありませんでした。ところが今では、新会社との競争や協調が必ずと言って良いほど取材の場で話題に上ります。