「政策や規制と向き合う半導体事業」と題し、半導体メーカーが戦略を考える上で見逃せない要素になった政策や規制とどのように付き合っていったらよいのか、指針を抽出することを目的としたSCR大喜利。今回の回答者は、某ICT関連企業のいち半導体部品ユーザー氏である。

いち半導体部品ユーザー
某ICT関連企業
ICT関連企業で装置開発に必要な半導体部品技術を担当。装置開発側の立場だが部品メーカーと装置開発の中間の立場で両方の視点で半導体部品技術を見ている。

【質問1】半導体業界が参考にすべき、政策や規制を利用した市場の創出と成長に成功している業界はどこでしょうか?
【回答】ここではあえてコンビニ業界

【質問2】政策や規制を利用して新市場を創出し、折り合いをつけながら成長させるために半導体業界がすべきことは何でしょうか?
【回答】政策や規制の利用だけでは不足、それをどう発展させるかを考えることが重要

【質問3】現在の半導体メーカーの中で、政策や規制を利用した事業で成功する可能性が最も高いと思われるのはどこでしょうか?
【回答】より生活の基盤となる半導体技術、公共性が高い半導体技術、しかし期待は別

【質問1の回答】ここではあえてコンビニ業界

 今回のテーマの対象になる業界は非常に多く、また単に政策や規制の利用だけではなく業界の努力も大きく影響している。政策を利用というよりは、むしろチャレンジして成功した例としてビール業界の発泡酒や第3のビールがある。酒税という政策に、企業努力で対抗することで成功している。規制については規制強化なのか規制緩和なのかで成功のパターンも種々あると思う。

 また緩和ではなく規制産業として、当初から規制を利用というより規制に守られている電力、ガス業界、運輸業界などもある。半導体業界もIoTへの対応などで電気、ガス業界に近い基盤となる状況を作れば、同様に規制産業として安定的な業界になるかも知れない。しかしここでは多少無理があるかも知れないが政策、規制の利用に加え、企業努力による成功のひとつとしてコンビニ業界を考えて見たいと思う。

 コンビニの場合は規制緩和になる。コンビニは当初から非常に身近で利便性の良い存在である。この利便性に、規制緩和によって、公共、行政サービスの対応や一部の薬の販売が可能になったことが、さらなる成功をもたらしたと考える。規制緩和をうまく活用し、さらに業界努力で成功したコンビニの例に半導体業界も学ぶことが多いと考える。