「ソシオネクストのあしたはどっちだ」と題し、同社の勝機を探ることを目的としたSCR大喜利。今回の回答者は、某半導体メーカーの清水洋治氏である。
清水洋治(しみず ひろはる)
某半導体メーカー
【質問1の回答】プラットフォーム次第と考える
2社のシステムLSI部門を統合したソシオネクストの得意とする分野は、SoCとなる。SoCとは文字ではSystem On Chipだが、文字通りのSoCだけでトップグループに存在する企業はない。システムのすべてを1チップ化できればよいが、システムは電源ICやRFICなどアナログ要素の強いものも含まれている。実際には、複数のチップで作る「チップセット」を持っているメーカーが、SoCビジネス領域での覇者となっている。具体的にはQualcomm社やMediaTek社、MARVELL社、Broadcom社、NVIDIA社、HiSilicon社らがこれに当る。
これらの企業が強いのはトータル力。仮に世界一性能が良いチップが作ることができても、チップセットで見劣りすれば、ユーザーの望むシステムは作れない。またOSやアプリケーションなども、見劣りなくアップバージョンに追従する必要がある。チップセットやOSの最新バージョン対応などを合わせたプラットフォームが、海外の強豪に見劣りしなければ、勝機はあると考える。
逆に言えば、チップ単体での性能にこだわっていれば、局所最適化となってしまい、上記海外の強豪とは戦えない可能性もあると思う。FPGAの進化も著しく、ASIC的なビジネスでも従来的な速度感では、世界の速度に見劣りしてしまう。映像や画像に関して標準化技術を中心に、新規参入者でも容易に使える環境=プラットフォーム化できるかは極めて重要なキーになると思う。