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 紫外LED(UV LED)は過去5年の間に、紫外線を使った硬化・乾燥・接着といった、いわゆるUVキュアリング向けで市場が確立された。UV LEDからの紫外線出力の大きさや寸法の小ささ、そして消費電力の低さがメリットになり、紫外線を利用するシステムの市場のみならず同システムの利用者に大きな価値をもたらしてきた。

 UV LEDを搭載した機器は小型かつランニングコストの低さなどによって、水銀ランプを用いる既存技術から置き換えが進み、UVキュアリング向けビジネスにおけるUV LED市場は拡大していった。2008年には全体でも最大2000万米ドルだったUV LED市場は、2014年には最大9000万米ドルにまで成長。この間の年平均成長率(CAGR)は28.5%に達した。

新しい時代が始まろうとしている


 Yole Developpement(以下、Yole)の最新レポート「UV LED - Technology, Manufacturing and Application Trends(UV LED - 技術、製造、そして応用の動向)」によると、消毒・浄化の用途が、UV LED市場の今後3年間での成長の鍵を握る。

 UV LEDを利用したUVキュアリングはインクや接着剤、そしてコーティング業界に広まることによって、UV LED市場はさらに拡大することになるだろう。そこに、消毒・浄化といった新たな用途が加わる。現時点では、消毒・浄化に用いるにはUV LEDの性能は十分ではない。だが、今後の性能向上によって、2018年までにUV LED市場の収益の一部はUVC (UV光のC波)を用いる消毒・浄化によってもたらされるとみている。

 UV LEDの市場規模は、2014年の最大9000万米ドルから2019年には最大5億米ドルにまで成長すると期待されている。ただしこれは、UV LEDが紫外線ランプに取って代わるという標準的な応用を想定した場合である。もし、UV LEDが一般照明や植物の栽培用照明、生物医学装置、そして院内感染対策といった分野でも使われるようになると考えると、UV LED市場はさらに大きな成長を遂げる可能性が高い。照明や医療向けでさえ、UV LEDが持つ可能性のほんの一部が現れるだけにすぎない。UV LEDの新たな応用先は市場規模に大きく影響しないが、我々の予想では2019年までにUV LED市場全体の約10%を占める可能性があるとみている。