最近の車載情報機器では、運転支援装備や燃費向上技術の採用増加により、車内で表示する情報量が増加している。結果として、さまざまな箇所にディスプレーが配置されるようになった。情報表示量の増大に応えるべく、視点移動や入力方式を考慮しつつ表示箇所を統合したHMI(Human Machine Interface)の開発も精力的に進められている。

 車内空間のどこにどのようなディスプレーを配置し、何を表示させ、どう操作するか。そうしたHMIに関する戦略は自動車メーカーにより異なり、その将来像は見えにくい状況にある。本稿では、車載HMIの一端を担うTFT液晶ディスプレーの現状を関連メーカーの動向と併せて解説する。

あらゆる箇所にディスプレー

 自動車内で主に情報表示を行う箇所は、CID(Center Information Display)、Instrument Cluster、Display Mirror、HUD(Head Up Display)などがある(図1)。この図には示していないが、前方シートの背面に設置するRSE(Rear Seat Entertainment)モニターもある。どこにディスプレーを搭載するかは自動車のモデルごとに異なるが、ここでは数量規模が大きいCIDとInstrument Cluster(TFT液晶ディスプレー搭載品のみ)に絞って解説する。

図1●車室内の主なディスプレー搭載箇所
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