最近、電車や街の中で、オシャレでカッコいいヘッドホンやイヤホンを着けている人が増えています。特に目立つのは女子。「ヘッドホン女子」という言葉がテレビや雑誌で多く取り上げられるようになりました。若い女性の間では、有名な海外ミュージシャンが創業に関わった会社のデザイン性を重視したヘッドホンが、人気アイテムの一つとなっています。ヘッドホンは音楽が好きなマニアだけが関心を持つものから広い範囲で人々の関心を集めるアイテムになりました。

 そんな状況を反映して家電量販店のヘッドホン売り場は品数が増え、売り場面積が拡大しています。秋葉原などでは、専門店ができるほどの勢いです。最近の特徴は、高音質を売りにした数万円レベルの高級ヘッドホンが売れ筋商品になっていること。購入する人たちは、お金に余裕がある中高年だけではありません。新規参入するメーカーも増えており、まさに百花撩乱の状況です。

 音楽や動画の再生、ゲームの機能がスマートフォン(以下、スマホ)に内包される時代になり、外出先や移動中に音を楽しむ機会も増えました。今や、スマホの音質はオーディオやゲームの専用機器と遜色ない水準になりつつあります。こうした背景も、高音質なヘッドホンやイヤホンをより身近にする一助になっているのでしょう。

スポーツ用ヘッドホンで新風

DENONのスポーツ向けヘッドホン「エクササイズフリーク」(写真:D&Mホールディングス)
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 この競争が激しい分野で「スポーツ向け」という切り口のヘッドホンで人気を獲得している老舗オーディオ・ブランドがあります。

 「DENON(デノン)」です。オーディオファンや音にこだわりを持つ方ならば、馴染み深いブランドでしょう。

 DENONのスポーツ向けヘッドホン「エクササイズフリークAH-W150」は、2012年10月の発売。既に2年以上が経過していますが、今もスポーツ向けのヘッドホンを探し求める人たちに好評を博しています。

 発売から2年目には国内出荷が初年度の約2倍に伸び、同等の価格帯のスポーツ用ヘッドホン分野で約25%の市場シェアを維持。国内の家電量販店では、売り切れで入荷待ちも珍しくない状態です。海外では日本以上の人気商品で、スポーツや健康への関心が高い米国を中心に日本での販売数を数倍上回る規模で売れ続けているそうです。

 人気の理由は、スポーツ用に特化した仕様をとことん追求したことにあります。例えば、Bluetoothの無線機能によるワイヤレス化。再生装置からヘッドホンに伸びるコードは、運動する時にかなり邪魔ですから、コードをなくすことは必然です。しかし、「ワイヤレスは、音が悪いのでは?」と思う読者も少なくないかもしれません。かくいう私も実際に音を聴いてみるまでは、そんな疑問を抱いていました。でも、試しに運動をしながら音を聴いてみると、その疑問は払拭されました。

 運動の最中でもヘッドホンが耳から外れにくくしたり、汗や突然の雨にも対応したりする機構も工夫しています。デザイン面でも「イエロー」「ピンク」「オレンジ」「ブルー」「ブラック」と、スポーツウエアやシューズに合わせた目立つ色を採用。「ランニングやフィットネスで激しく動いても邪魔にならない」「高音質の音が当たり前に聴ける」「汗をかいても壊れにくい」といったユーザーのニーズに応えた商品だったわけです。