コミュニティーソーラーの累計設置数(青い点)と累計設置容量(緑の棒)(出典:NREL)
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バーモント州ノーススプリング地域に設置された150kWのコミュニティーソーラー(出典:Soveren Solaris社)
バーモント州ノーススプリング地域に設置された150kWのコミュニティーソーラー(出典:Soveren Solaris社)
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アリゾナ州フロレンスのCopper Crossing Solar Ranch(出典:SRP社)
アリゾナ州フロレンスのCopper Crossing Solar Ranch(出典:SRP社)
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 米国では「コミュニティーソーラー」が、開発業者や投資家から注目を集めている。コミュニティーソーラーは、日照などの理由で家や建物に太陽光発電システムを設置できない、もしくは設置条件が整っていても太陽光発電システムを設置する十分な資金がない、といった電力消費者に太陽光発電システムの利用を促す仕組みだ。

 自宅の屋根や敷地内ではなく、地域社会(コミュニティー)内やその近くに設置された太陽光発電システム(コミュニティーソーラー)の一部を購入する。コミュニティーソーラーで発電した電力は、あたかも自宅に太陽光発電システムが設置されているかのように、電力会社に売ることができる。その電力によって、毎月の電気料金の支払額を削減する。

 開発業者にとっては、太陽光発電システムの設置が困難だった電力消費者の開拓が可能になるというわけだ。

2006年に初の事例

 米国初のコミュニティーソーラーは、2006年にワシントン州エレンスバーグ市に設置された70.5kWのシステムと言われている。現在、コロラド州やミネソタ州、カリフォルニア州など10州が、法律や規定でコミュニティーソーラーの導入を促進している。

 米NREL(National Renewable Energy Laboratory)の発表したレポート「Status and Trends in the U.S. Voluntary Green Power Market(米国での自発的グリーンパワー市場の現状とトレンド)」によると、2014年9月時点で全米に合計40MWの64のコミュニティーソーラーが存在する。2014年9月時点で未完成の建設中のプロジェクトは60MW近くになるという。

 コミュニティーソーラーの運営は、電力会社や地域のNPO法人、開発業者、電力会社と他の機関との共同で実施する場合が多い。米国の多くの電力会社が加盟しているSEPA(Solar Electric Power Association:米国太陽発電電力協会)の加盟企業への調査によると、現存する87%のコミュニティーソーラーは、電力会社が運営しているという。