光安 以前、仕事量が多くて自分の仕事が回らなくなったことがあったんです。そこで知人に相談したら「何時間、寝てるの?」と聞かれて。「8時間です」と答えたら、「それはダメ。社長が1日の1/3も寝ていたら仕事が回らなくて当たり前だ」と。それでハッと気が付いて。以降、睡眠時間は減っていますけど、すごく充実するようになったんです。はっきり言って、まねをしてはいけない例かもしれないけれど(笑)。いろいろなことをメモするようになったし、ノートパソコンも持ち歩くようになりました。

 社員には、モーレツぶりを求めていません。完全に自己満足の世界です。でも、社長になって、経営者は走り出したら止まってはいけないのだと思うようになりました。福生さんが言ったように、日々勉強だし、もっともっと新しいことをやりたいし、やらなければならないんです。無事に商売が続いている感謝をするために、南蔵院にお参りに行ったり、滝に打たれに行ったりもしますよ。

三反田 滝ですか。

光安 信仰というところもありますが、やはり感謝ですよね。周囲の人に感謝するという部分が、社長になって一番変わったところだと思います。以前は「言われたからやっていた」という感じでした。

三反田 お二人はそれぞれ福岡と北海道で事業を手掛けて、地方から発信しているわけですよね。これまでは、どちらかというと東京一極集中という傾向があったと思います。地方だからこそ、ビジネスで面白いということはありますか。

福生 雅寿(ふくお・まさとし)
雅楽 代表取締役。HAPPY BORN 代表取締役。12年の和食調理経験と飲食マネジメント経験を経てスープカレーの世界へ。2007年スープカレー専門店「GARAKU」を開業。コク旨、秘伝スパイス、和風ダシの融合したスープカレーが支持を得て連日行列人気店になる。現在別コンセプトのスープカレー店含む北海道3店舗、東京八王子店、沖縄店、香港マカオ含む6店舗展開中。北海道札幌スープカレーの魅力を文化として伝えている。(写真:加藤 康)
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福生 「地方だから」ということはないと思いますけれど、やはり地方都市は「人のつながり」が色濃く残っていると思います。商売は人だと思っているので、それは社員やスタッフに伝えるようにしています。

 例えば、僕はスープカレーのGARAKUという看板を背負っています。だから、いろいろなところに顔を出すと、会った人は「スープカレーが食べたい」という感じになると思うんですよ。だから、人のつながりもできるし、自分が顔を出しただけで宣伝にもなる。最近は店舗が増えたので少しずつ自分は下がって、店の名前を前に出している感じではありますけれど。そういう人間同士のつながりが地方都市のよさじゃないでしょうか。

 それは札幌もそうだし、福岡も同じだと思います。 福岡って、経営者の交流会が多いですよね。日本で一番多いんじゃないですか。