老舗の酒造メーカーを背負う経営者と、裸一貫で事業を立ち上げた気鋭の経営者。2人は「人のつながりが濃い地方だからこそ発信できることがある」と異口同音に話す。その視線は東京を飛び越え、地方発の日本文化を世界に伝えることに向いている。
三反田 昔からある酒蔵だと、「あまり奇抜なことをやっても…」というところがありますよね。光安さんの光酒造では、新商品を開発するときにどんなことに気をつけているんですか。
光安 実は今、新しい商品を開発中なんですけど、それについてはまだ言えません。発売前なので。ただ、いろいろな樽を買ってきたりして、自分で研究してみますよ。梅酒とかを造ってみたりもします。そういうことをするのが大好きなんで。
ナショナルブランドの大手は、やはり味が安定していなければならないでしょう。「いつどこで飲んでも同じ味である」という安心感が大切だと思うので。でも、自分たちのような小さな蔵は、いろいろなことに挑戦できます。それって、ラッキーなことだし、チャンスだと思っています。
三反田 福生さんのところはどうです? 新商品を開発するとき。
福生 和洋中というか、あらゆる料理を体験してみますね。食べ物だけではなく、エンターテインメントにまつわるものにも多く触れて、吸収するようにしています。
2013年に「TREASURE(トレジャー)」という「GARAKU」とは異なるコンセプトの店舗を出したんです。スープのコク旨というコンセプトは同じなんですけれど、ちょっとスープカレーの作り方を変えて。スパイスの量をあえて減らして、中華調味料の醤(ジャン)を使ったスープカレーです。