倶楽部セッテンの今回のゲストは、福岡で日本酒と焼酎を製造する光酒造の光安慎一郎社長と、札幌で人気のスープカレー店を運営する雅楽の福生雅寿社長である。
 老舗の酒造メーカーを背負う経営者と、裸一貫で事業を立ち上げた気鋭の経営者。現在のビジネスにたどり着くまでのプロセスこそ違えど、「食」という同じ土俵上での思いには共通点がある。「自分がおいしいと思う味」と「お客さんに支持される味」。このバランスを知ることの大切さは、多くの製造業にも通じるものづくりの真理だろう。
左から、三反田氏、光安氏、福生氏(写真:加藤 康)
[画像のクリックで拡大表示]
三反田 今回は、福岡と北海道で企業を経営しているお二人に集まっていただきました。口に入れるものではありますが、お酒とカレーというだいぶ違う商品を扱っています。まず、光安さんから自己紹介していただけますか。

光安 光酒造は福岡で焼酎と日本酒の製造・販売をしています。ほかの地方ではあまり知られていないのですが、九州の中で福岡は米どころなんですよ。実際、日本酒の蔵元も100くらいあります。九州では意外に日本酒を飲む人が多いんです。

 九州には、いろいろな焼酎があります。中でも福岡では、麦焼酎が多い。長崎の壱岐が麦焼酎の発祥と言われていて、その流れが息づいています。光酒造の主力商品も麦焼酎です。私の祖父の時代に、日本酒の蔵本だった本家から分かれて光酒造を立ち上げました。1959(昭和34)年のことです。

光酒造の麦焼酎「夢想仙楽」(写真:光酒造)
[画像のクリックで拡大表示]

三反田 光酒造の麦焼酎「夢想仙楽」は、かなり売れているそうですね。光安さんは、光酒造の社長になるまで何をしていたんですか。

光安 正直に言うと、若いころは、ちょっと“どまぐれてた”んで。

リアル開発会議 どまぐれる?

光安 まあ、やんちゃだったってことです(笑)。バレーボールをやっていて、高校にはスポーツの特待生で入ったんですけど、すぐに辞めちゃいまして。

リアル 学校を?