「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」。プロ野球の選手・監督として数え切れないほどの勝負に接してきた野村克也氏はこのように言っている。偶然が重なって運良く勝つ場合もあるが、負けた時には何らかの原因が必ずあるはず、という教えだ。確かに、勝負を重ねる中で、より多く勝てるようになるためには、このように考えないと慢心するし、進歩もない。

 日本の半導体産業の凋落を分析し、教訓を得ようとする記事、書籍、文献は多くある。しかし、勝ち組が勝てた理由を客観的に分析したものは少ない。今回のSCR大喜利では、日本の半導体産業の中で数少ない勝ち組と言える東芝を題材に、「東芝のメモリー事業は、なぜ生き残りなぜ好調なのか」をテーマに、同社が勝ち残り、現在も強くあり続けている要因を探求した。

【質問1】
メモリー事業を行ってきた日本の半導体メーカーの中で、なぜ東芝だけが大きく業態を変えることなく生き残ることができたとお考えでしょうか?

【質問2】
現在の半導体業界の事業環境を鑑みて、他の半導体メーカーは、東芝の過去と今からどのようなことが学べるとお考えでしょうか?

【質問3】
今後も東芝のメモリー事業が競争力を持ち続けるために、変えるべきではないことと変えるべきことは、それぞれ何だとお考えですか?

 回答者は以下の通り。

服部 毅氏
服部コンサルティング インターナショナル
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」参照

和田木哲哉氏
野村證券
「幸運を逃さず、つかみ取ることができた力の本質は何か」参照

三ツ谷翔太氏
アーサー・D・リトル
「環境の変化をどのように見極め、事業の舵を取ったのか」参照

南川 明氏
ICTテクノロジー
「急成長するNAND市場で、なぜ競合に勝てたのか」参照

田口眞男氏
慶應義塾大学
「長年、競合の技術者・経営者として東芝に対峙した視点から」参照

表1●回答のまとめ
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