今年も就活・採用の時期になりました。今年から採用の時期が後ろ倒しになりましたが、企業も学生も悠長に待てるはずもなく、もう就活が本格化しているようです。面接解禁の8月まで5カ月もあり、それまで何をするのでしょうね。企業の方も「何をするんでしょう?」と戸惑っているよう。本当はさっさと面接した方が企業、学生、大学の誰にとっても良いのではないでしょうか。ルールが変更になったばかりで、企業も学生も手探りが続くのでしょう。

 新卒一括採用のために大学卒業時には就職のチャンスが多い一方、中途採用が少なく、労働市場の流動性が低い日本では、新卒で就職する時に将来まで見通すことが必要と考える人が多いでしょう。しかし、変化が激しい技術の分野では、40年後の定年時どころか、10年後さえも見通すことは難しい。

 業界の専門家でさえも予測できない将来を、学生に考えろというのは酷です。それでは、どうやって就職先を決めるのか? 完全な正解など私にはわかりませんが、社会の基盤となる技術は、産業の栄枯盛衰があっても意外と変わらないのではないでしょうか。

 半導体産業を例にとって考えてみます。日本の半導体メーカーはグローバル競争に負け、撤退する企業が相次いでいます。一方、半導体技術そのものはむしろ様々な産業で使われるようになり、裾野が広がっています。半導体を使う異業種に転職することで生き残っている方も多い。自動車メーカーが半導体の設計者を積極的に採用したり、横浜市に研究所を開設するAppleが回路設計者をリクルーティングしているという噂も聞きます。

 先日、私のNEDOフォーラムでの講演の記事「『コンピューティング技術は歴史的転換点にある』、中央大の竹内氏」(リンク先)が掲載されていましたが、IoT(Internet of Things)と言われるように、多種多様なセンサから取得された膨大なデータを処理することが必要になっています。

 そのためには、今までのようにCPUの動作周波数を上げたり、CPUのコア数を増やすだけでは不十分。SSDやストレージ・クラス・メモリ(MRAM、ReRAM、PRAMなど)といった高速なメモリを活用して、高速にデータにアクセスする新しいコンピュータシステムが必要になってきています。単に新しいメモリを採用するだけでなく、高速な不揮発性メモリの潜在力を引き出すためには制御ソフトウエアまでシステム全体を最適化する必要があるのです。