[本記事は「第99回品質管理シンポジウム」(主催:日本科学技術連盟)の講演内容を基にしたものです。]
「SKYACTIV」技術は、全てのユニットで高度な技術革新に挑戦しながら、それを短期間で全車種に展開し、かつ普及しやすい「手軽な価格」で実現することを目指して導入したものです。しかしこの新しい挑戦は、従来通りのやり方ではとても成し得ません。そこで、ものづくりの大変革を同時に進めようと、「モノ造り革新」という一大プロジェクトを立ち上げたのです。
基本となる考え方はこうです。まず、商品競争力を高めるためには、それぞれの車種や市場に最適になるように多様な部品を造らないといけません。いわゆる多品種少量生産です。一方で、経済性を高めるためには、ボリューム効率を精一杯活用できる共通性を高める必要があります。つまり、少品種多量生産です。
これまでですと、多品種少量生産と少品種多量生産両者の狭間でバランスを取るみたいな議論になりがちだったんですが、そうではなくて、両者をいっぺんに実現しよう、つまり多品種少量生産を少品種多量生産並みの効率で実現しようと言ったんです。もちろん最初は、社員の皆はきょとんとしましたが、「両立する術を考えてみよう」とベクトルを一つに揃えると、だんだんと知恵が出てくるようになりました。