時間がたつのは早いもので、2015年も3月に入ってしまいました。各業界の2014年の実績データもほぼ出揃ったようです。そこで、経済産業省が集計している電子産業のデータから、気になる項目をピックアップして並べてみました。

 数値は出荷額を前年比で表したものです。100%ならば前年と同じ、100%超えていればプラス成長、下回っていればマイナス成長ということになります。エレクトロニクス業界全体では2.6%のプラス成長したことになっています。これは、業界の一般的な認識とずれている感じがしますが、個別に分析してみると、それなりに理由があることが理解できます。

経済産業省の生産動態統計から。DKNリサーチが編集
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 最初に目につくのは、民生用電子機器の大きな減少で、15%以上も小さくなっています。かつては花形輸出商品だったビデオカメラやデジタルカメラが、それぞれ40%以上、30%以上の大幅減少です。薄型テレビは、6%程度の小幅減少に留まっているかのような印象を受けますが、実際には前年までに下がるところまで下がっていたので、もう限界に達しているというのが実情でしょう。

 これらのメーカーは、国内はもちろん、海外の生産まで整理してきているので、多少の円安が進んだくらいで復活する可能性はほとんどないものと考えられます。車載用の機器は、いくらかましなようですが、「苦しい時のクルマ頼み」という業界の言い伝えに頼っているのでしょうか。一方で、補聴器が50%を越える伸びが際立っていますが、補聴器単体を民生機器のカテゴリーに分類するのにはちょっと抵抗があります。

 産業用電子機器は、全体で3.7%の減少となっていますが、携帯電話の37.6%減少、ファクシミリの45.1%減少が効いています。この二つがなければ、計算上はプラス成長を果たしたことになります。また、パーソナルコンピュータは、1.6%の微減になっていますが、これも既に限界まで落ち込んでいましたので、これ以上下がる余裕もなかったといえます。

 一方、レーダ装置や現金自動支払機のような業務用機器は二桁の成長を果たしています。大型のメインフレーム・コンピュータもわずかではありますが、プラス成長となっています。