非難をするのではない。しかし、自分で負け犬だと思い込み、新しいことにチャレンジしないのは、どう考えてもおかしい。いや、もったいないではないか。

 こんなことがあったのだ。

 そのご担当(Cさん)は、以前、手痛い目に遭っていた。ある医療情報システムを病院に提案して、ほぼ採用が決まりかけていたのに、何と、政治的な裏工作で他のシステムが採用されたのだ。

 Cさんには何の落ち度もないし、採用しようと考えていた病院側の担当者も、まさに青天のへきれき。相撲で言えば、土俵際まで追い詰めた挙句のうっちゃり負けである。それはもう、Cさんの落ち込みようは目を覆いたくなるものだった。

 大きな金額でもあったのだが、それよりも喪失感と言うのか、絶望感と言うのか、絶対に大丈夫だと信じていたことが、アッサリと、それも、それまで一度も会ったことのない政治家に、訳の分からぬ理屈でひっくり返されたのだからたまらない。

 誰でもこんな目に遭えば、そのような気持ちになるのは分かる。しかし、その後のCさんはいただけない。私はそう思うのである。

 何をするにも、土壇場でまたうっちゃりがあるのではないかと、まさに疑心暗鬼になってしまい、正々堂々とした態度が失せてしまったのである。

 それはまるで、ケンカに負けた犬が尻尾を丸めて勝った相手に向って首をうなだれ、尻込みするようにあとじさりする、負け犬の尻込み状態になってしまったのだ。

 繰り返すが、私はCさんを非難しているのではない。Cさん、それではもったいないではないかと、エールを送りたいのだ。