うつ病の診断補助などに利用されている「光トポグラフィー」。近赤外線を大脳皮質に照射して酸化ヘモグロビンによる吸光度を指標とした測定方法である。近年、この分野での需要の増加というバックグランドがベースとなり、新しい機器開発・商品化が進行している。

普遍の技術と時代の要求から

 光トポグラフィーは20年ほど前に日立製作所が実用開発したもので、脳機能の可視化を実現した技術である。近赤外線を利用しているために、非侵襲での脳機能のマッピング(イメージグと呼ぶこともある)が可能であり、活動部位を画像化できる。同社では、この技術の有用性が認められ普遍化されたことから、「光トポグラフィ」という登録商標を保持したままその利用を一般公開している珍しい例でもある注)

注)日立製作所の登録商標は「光トポグラフィ」であり、現在一般に使われているのは「光トポグラフィー」となっている。

 約1年前の2014年4月、厚生労働省は光トポグラフィー検査の診療報酬「D236-2 2抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するもの」に対して200~400という点数を与えた。時代の要求に応えた結果と受け止めていいだろう。その点数分が償還される機器が光トポグラフィーによる「脳機能オキシメータ(一般的名称)」だ。

二つのユニークな技術採用が特徴

 このタイミングに呼応するかのごとく、ベンチャー企業のスペクトラテック(代表取締役 大橋三男)が新製品の開発に成功した。同社として最初の医療機器の認証を取得した「光イメージング脳機能測定装置 Spectratech OEG-16ME」である。

16チャンネルの計測点を有するセンサー部の概観
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