図◎VW社のPHEVコンセプト車「Cross Coupe GTE」
図◎VW社のPHEVコンセプト車「Cross Coupe GTE」
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 今年1月に開催された「デトロイトモーターショー2015」を取材しました。景気回復や原油安という追い風を受けて米国では、排気量や車体の大きいクルマの人気が高まっています。そのため今年の展示会では、ピックアップトラックなどの新型車の発表が目立ちました。

 一方で展示会では、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)といった環境対応車の新型車を発表する動きも相次ぎました。その中でも筆者が関心を持ったのが、ドイツDaimler社や同Volkswagen(VW)社、スウェーデンVolvo社などの欧州メーカーが披露したPHEVの新型車やコンセプト車でした(図)。

 欧州メーカーがPHEVに力を入れる背景には、昨年夏から下落を続けていた原油の価格が底を打ち、今後上昇に転じるという見方があります。また、世界的に厳しくなる環境規制にも対応しなければなりません。規制が最も厳しい欧州では2021年から、「クルマ1台当たりのCO2排出量を95g/km以下に削減する」という規制が実施されます。欧州メーカーはPHEVによって、この規制をクリアできると見ているようです。

 欧州メーカーがもう一つの有力なCO2排出規制対策になると考えているのが、48V電源の「マイルドHEVシステム」の導入です。同システムは、日本などで普及している「ストロングHEVシステム」より追加コストが少なくて済み、クルマへの搭載が容易といったメリットがあります。新興国向けのクルマにも導入しやすいため、「世界の主流になるのではないか」という見方もあります。

 欧州メーカーは2016年~17年に、48Vシステムを実用化する予定です。中型車から導入を開始し、コスト面などの理由でストロングシステムの採用が難しい小型車への採用も視野に入れています。韓国メーカーも導入を検討しています。日本の自動車メーカーは、こうした海外勢の動きを注視する必要がありそうです。

 「日経Automotive」は4月7日に、「48V システムはハイブリッドの主流になるか(第2回)」と題したセミナーを都内で開催します。同システムの特徴やメリットのほか、実用化を支える要素技術、普及に向けた取り組みなどの最新動向を解説します。ご登壇いただく講師の方は昨年12月に開催した第1回と同じですが、前回の内容を踏まえて最新動向を語っていただきます。ぜひ、ご参加ください。