2015年1QのiPhone 6(4.7型)/6 plus(5.5型)の生産がそれぞれ状況を異にするという従来の見方は、変わらない。「非常に販売好調」と見られてきた5.5型は、ドイツ証券(以下「当社」)が2015年1QにQOQで半減近い生産調整を見込む。その一方で4.7型は、年明けからじわじわと関連部品需要が上向いており、例年の1Qよりも小幅な調整で済みそうである。

 5.5型の生産数量(組み立てベース)は2014年4Qの推定実績が2400万台、2015年1Q見込みが1400万台と従来(1月下旬時点)予想1300万台から若干の修正だが、傾向に変化はない。販売当初の供給不足、通信事業者からの強い引き合いから増産を続けてきたが、足元では需要が充足されてきたと見ている。販売自体は順調だが、それ以上の生産を行ってきたために、足元の生産は一服している。ただし、今回当社見通しを若干ながら上方修正したように、生産調整の底はおおむね見えてきた感がある。

 一方の4.7型の生産数量に関しては、2014年4Qが4400万台、2015年1Qが3100万台で従来予想から変更ない。同機種は当初から想定通りの供給が続いてきたが、販売好調につき、年末時点で2015年上期の販売見通しが上方修正され、1Qの生産計画も上方修正されたものと推測する(当社見通しは1月に引き上げている)。

他のグローバルブランドに目立った動きはない

 上記2機種にiPhone 5Sなど旧機種を合計した予想生産数量は、2014年4Qが8200万台→8100万台(YOY+34%、QOQ+113%)、2015年1Qが5300万台→5600万台(同+49%、-31%)、2015年2Qは4600万台(同+28%、-18%)とYOY伸び率が依然として非常に高い。

 一方で、Samsung Electronicsなど他のスマートフォングローバルブランドに突出した動きはなく、中国ブランドも足元は若干弱含みである。スマートフォンでは、Appleおよび中国のその他に属する設計/ODM会社(所謂デザインハウス。中国、新興国を中心とした海外ブランドに製品を設計・供給)がアウトパフォームしている状態であり、2015年の少なくとも上期はこの流れが続くと当社では見ている。

 総括すると、2014年3QのiPhone 6生産数量の推定実績は、4.7型が部品ベースで最大2000万台程度、最終製品組み立で1500万台、5.5型が部品ベースで最大500万台、最終製品組み立で300万台。2014年4Qの推定実績は、4.7型が部品4800万台/組み立て4400万台、5.5型が部品2800万台/組み立て2400万台で変更なし。2015年1Qは4.7型が部品3600万台(従来予想は3500万台)/組み立て3100万台(同3100万台)、5.5型が部品1300台(同1300万台)/組み立て1400万台(同1300台)を想定。2015年2Qはまだまだ不透明性が高いが、現時点では組み立てベースで4.7型が2700万台(同2800万台)、5.5型が1000万台(同1000万台)を想定している。