パワー・ツー・ガス技術を開発して装置を供給しているドイツETOGAS(旧SolarFuel)によると、2015年1月にスイスで初のパワー・ツー・ガスのパイロットプラントが稼働した。スイスの町Rapperswillにあるガス供給会社内に設置された装置で、再生可能エネルギーの電力によって水を電気分解して水素を製造、それをメタンに変換する。入力電力は25kWで、36台の天然ガス自動車にメタンを供給する。

 Rappeswill工科大学(Rapperswill University of Tchnology)が検証しており、その結果を待って、さらにメガワット(MW)クラスのパワー・ツー・ガスを検討するとしている。

 2014年10月にはオーストリアRohol Aufsuchungs Aktiengesellschaft(RAG)が、天然ガスの地中貯蔵設備を活用するプロジェクト「Underground Sun Storage」にETOGASのパワー・ツー・ガス装置を採用すると発表した。RAGは同プロジェクトの主体であり、企業や研究機関がコンソーシアムを組んでプロジェクトを推進している。今回の発表で想定しているプラントは600kW規模で、2015年第2四半期での稼働を目指すという。

 オーストリアには、70億m3(立方メートル)分の天然ガス貯蔵設備があり、その中に水素を10%程度まで混入する技術基盤を確立することで、再生可能エネルギーの余剰問題の解決に寄与しようというプロジェクトである。将来的には、水素をさらにメタンにまで変える手法も視野に入れている。