ここ数年、米国を中心に自動運転車を巡る動きが活発である。記憶に新しいところでは、米Apple社もまた、自動運転技術の開発に技術者、設備、研究開発費も投入し本格的に参入すると公表した。筆者は、クライアントである工場機材メーカーの営業社員が社用車にiPadを装着してカーナビ代わりに使用していたのを1年も前から見ていたからそれほどは驚くこともなかったが。もともと同社は、創業者Steve Jobs氏(1955-2011年)が存命の2000年代半ばごろから、自動車分野への参入機会を狙っていたという。

1.日本は自動運転技術の開発に遅れを取るか

 日本では、自動車メーカー以外では、ソニーがセンサー技術で、パナソニックが蓄電池で自動運転技術への参入を表明しているが、その他の企業からの表明はまだ多くはないようだ。IoT(Internet of Things)の時代を迎え、自動車部品や組み込みソフトウェアのメーカーはもちろんのこと、道路敷設だけでなく道路付帯設備(電気、通信、機械など)の企業であれば、皆、この分野には参入が可能である。

 Apple社は横浜に研究開発拠点を持つ計画もある。横浜では、横浜市が中心となって東京ガス、東芝、日産自動車、パナソニックなどと共同で推進するスマートシティ(環境配慮型都市)構想が2013年度より始まっている。ただし、それぞれの強みを生かした試みとしては悪くはないものの、自動運転技術となると話は別である。

 エコ住宅や再生可能エネルギーのモデル地域をつくるだけでは、「箱モノづくり」と同じだ。「エコ=箱モノ」と限定することはない。取り組み次第では新しい産業を生み出すシーズを先取りできるはずだ。日本はこの機会に乗り遅れてはいけない。