ファッションショーを仕掛ける

ファッションショーを実施

菅沼 ソーイングボックスで現在、最も売り上げが伸びている商品は企業向けのユニフォームです。でも、ただユニフォームを売っているわけではありません。何かをプラスアルファをしているわけです。一般的にユニフォームはカタログ販売がほとんどですが、うちの会社にはカタログはありません。お客さんの9割が口コミです。

 お客さんと一緒にワイワイガヤガヤと話し合いながら、ユニフォームをオーダーメードで作り上げていくわけですが、その過程でお客さんの会社の従業員によるデザイン大会や忘年会でのファッションショーなど、いろんな仕掛けを一緒に組み合わせて販売しています。こうした仕掛けで「お客さんのブランド力が上がりますよ」とか、「組織力が高まりますよ」といった新たな価値を認めてもらい、結果としてユニフォームが売れるようになっていくのです。

 例えば、フランチャイズ(FC)展開しているお客さんが本部の求心力を高めるために新しい統一ユニフォームをお披露目するイベントを実施するようなケースもありますし、親ブランドは有名なんだけど子ブランドはあまり知られていないので知名度を高めるために面白いイベントを一緒に仕掛けるというケースがあります。デザイナーを入れて、はやらせる仕掛けを用意して、その上でユニフォームを売るという総合提案をしている感じでしょうか。

ケアプロに採用されたオーダーメードのユニフォーム

 新卒採用のイベントに僕らが一緒に参加し、デザイン大会をしたこともあります。最近だと、新卒の新入社員だけを集めた勉強会のようなものを企画して、同期の結束力を高めるための取り組みも手掛けました。業種よっては新入社員が3年ぐらいで辞めてしまう企業も多いので、離職を防ぐ仕掛けづくりに一役買っています。

リアル ノベルティとユニフォームという違う分野の商品ですが、大橋さんも菅沼さんもコンサルティングをパッケージにしてモノを売っているというわけですね。今後はどのようなことを提案していこうと思っていますか。

大橋 中国の浙江省に、東京ビッグサイトで開催される「ギフトショー」のようなイメージでブース型の店舗が並ぶ場所があり、そこに世界中のバイヤーが雑貨を買い付けに来ます。そこに日本のデザイン、日本のクオリティーを確約したブースを出して、そこを拠点に世界に向けて自社の商品を発信していきたいと思っています。

 現状、中国で作ると100円の商品を日本で作ると500円ですが、僕はその間の300円で世界中のバイヤーにものを売ってみたいと考えています。100円と300円の差は、中国の商品よりもクオリティーが高いという点です。ただし、メイド・イン・ジャパンではなく、デザインや品質管理を日本人がやっているという部分を発信していけたら、面白いと思うんです。メイド・バイ・ジャパンというかたちで発信したいと考えています。

菅沼 お客さんに求められているハードルが上がれば上がるほど、ビジネスの多様性が高まると思っています。ただし、ここで言う多様化は昔ながらの機能の細分化ではありません。先ほど言ったように、ユニフォームを販売しているけれど、イベントを手掛け、ファッションショーまでやることが今求められています。その意味で、これまで以上に多様性が増すでしょう。

 ユニフォームを手掛けて約3年間で売り上げは数倍に増えました。圧倒的に伸びている分野が医療・介護です。多忙な職場ですから人材採用や、企業ブランドに気を遣っている企業が非常に多く、一緒に考えていけるはすです。このほか、外食をはじめ統廃合の激しかった業態にどんどん提案していけると考えています。