相場は1個100円以内

大橋和克(おおはし・わかつ)東京国際貿易株式会社 専務取締役。日本体育大学卒業後、中小の総合広告代理店に就職。飛び込み営業を中心に2年間営業力を徹底的に鍛え、その後、商社に就職し5年間勤務。貿易のノウハウを学び、雑貨、付録に特化した事業部を立ち上げ、退職する頃には会社の売上の8割を捻出する。2011年4月東京国際貿易株式会社設立。現在に至る。(写真:加藤 康)

大橋 僕も同じものづくりですが、東京国際貿易という会社を立ち上げて、雑貨全般を取り扱っています。基本的にはOEMで、雑誌の付録をはじめ、企業ノベルティやキャンペーングッズ、コンサートグッズを中心に手掛けています。このほか、メーカーのバックヤード商品ですね。例えば、シャンプーのボトルやケースといった容器関連です。

 僕はもともと商社に勤めていて、自分で会社をやったら面白そうだと約5年前に学生時代の先輩と共に独立しました。企画提案から物流、製造、ハンドリング、輸入まで一貫して手掛ける会社です。

 製造自体は提携工場で作ってもらうのですが、中国にある自社の工場で検品しています。多くの付録はとても安価で、1個当たり100円以内が相場です。

リアル開発会議 中国で製造したノベルティの品質を確保して、日本に持ってくるという形でしょうか。

大橋 その通りです。中国で生産した雑貨で一番懸念されているのは、品質管理です。日本で検品する場合もありますが、コストが合わないのが実情です。そのため、中国の検品サービスを利用することもありますが、中国の検品所だとやはり不安が残るということで、中国人を活用しながらも日本クオリティーの検品を実現する仕組みを立ち上げました。

三反田久弥(さんたんだ・ひさや)。パラシュート 代表取締役社長。2000年に一生付き合える仲間作りをテーマに若手経営者の会である「若手商店街」を設立。現在、北海道、関東、東海、関西、九州、沖縄の6支部があり、約400社の会員数がある。現在、全国代表理事。他に日本介護協会常務理事やグローバルキャリア協会理事などを歴任する。(写真:加藤 康)

三反田 両社共に大きな会社ではありませんが、海外に拠点を持つ企業として大手にはない苦労をしていると思うので、どのようなトラブルが起こるかなど、ぜひ聞きたいですね。海外拠点は一般的に人件費が安いと言われていますが、そうは言っても、こんなリスクがあるとか、あるいはこんな利点があるよなど、それぞれの国や業界によって異なるはずです。ちなみに中国とベトナムで違いはありますか。

菅沼 国民性は全然違います。それは、就業時間の終了ベルが鳴ったときに分かりますよ。中国では、ベルが鳴ったら、針が服に刺さったままでも帰るスタッフもいますね。時間通り、契約通りというものを通り越して、自分のルールで帰る、そんな感じです。

 日本人は自分の仕事がどこまで終わるかを考えながら、周りの様子に合わせて帰ります。全体感をとても意識する国民性を持っています。ベトナムはもっと賢いというか、事前に相談していますよ。ちょっと腹黒い部分が見えますけど、ある程度その日の終わりはどこかを周りと相談しながら調整しています。予定調和的な働き方をするんです。

 工期通りに終わらない理由を、日本人はロジカルにひもとくことができます。例えば、「パンツ1枚が何分で製造されているか」とか、「パーツがこう組み合わさっているから、これぐらいで作業が終わるはずだ」ということとかが分かっていて、計算できるんです。

 でも、日本人のラインに外国人が1人、2人入るだけで大きく変わってしまいます。昨日100枚できていたものが、今日は50枚しか終わらないとか平気であるんですよ。それは、ライン責任者のマネジメント一つで大きく変わるわけです。