以前なら、部品メーカーは自社部品といくつかのソフトウエア環境を用意すればよかった。だが、現在ではクラウドサービスまで用意する必要が出てきた。

 自動車をインターネットに接続するという最新動向に対応するため、自動車部品メーカーである米Visteon社は、クラウドサービスとハードウエアの両方を整え始めている。

 「今後、すべてのモノがインターネットに接続されるIoT時代においては、自動車用途のサービスが、そのバリューチェーンの一翼を担うだろう」(Visteon社)。

 音楽やSNSなどのクラウドサービスを自動車内に楽しめる環境は、現在の自動車向けサービスでも一般化してきている。こうした中、Visteon社が目指しているクラウドサービスは、さらに先を見据えた自動車メーカー向けのものである。

 同社が公開している事例の一つが自動車用ソフトウエアを遠隔操作でアップデートするサービスだ(発表資料)。スマートフォンなどのデジタル家電ならこうした機能が当たり前だが、Visteon社は複数の企業と共に、この機能を自動車で普及させようと動き始めている。

 これまで車内のソフトウエア環境は特にサイバーセキュリティを想定することなく開発されてきた。しかし、自動車用途でのクラウドサービスの普及には、セキュリティーが大きな障壁となっている。

 現在、クラウドサービスに限らず、ユーザーの携帯端末をはじめ、道路側の装置や他車などの車車間で通信する装置として、Bluetoothや無線LAN、DSRC(dedicated short range communications)といった無線規格が利用され始めている。