「展望、2015年の半導体業界」と題したSCR大喜利。回答者それぞれが注目する2015年に起き得る動きを披露していただいた。今回の回答者は、IHSテクノロジーの大山聡氏である。
IHSテクノロジー 主席アナリスト
1985年東京エレクトロン入社。1996年から2004年までABNアムロ証券、リーマンブラザーズ証券などで産業エレクトロニクス分野のアナリストを務めた後、富士通に転職、半導体部門の経営戦略に従事。2010年より現職で、二次電池をはじめとしたエレクトロニクス分野全般の調査・分析を担当。
【質問1の回答】ADAS関連の半導体需要動向。金額的には目立たないが、参入企業が増えている
パソコンおよび民生機器向けの需要は伸び悩んだままで、スマートフォン向けが市場をけん引するという現在の状況は、2015年も継続すると予想される。10-12月期の決算を見ると、Intel社は前年同期比6%の売上増だったが、通信向けの売り上げが全体の65%を占めるTSMCは同53%の売上増を記録した。スマホはパソコンだけでなく、デジタルカメラ、ゲーム機、ポータブルナビといった民生機器市場の需要も吸収しながら成長を続けている。この流れを変えるような要因は当面見当たらない、と筆者は予想している。
スマホは今や車載機器との連動も進んでおり、自動車メーカー各社がスマホを活用した情報サービスを提案することで、顧客の囲い込みを図ろうとしている。ただし、スマホが車載に活用されるのは情報系だけで、制御系についてはADASが徐々に普及しつつあり、新たな半導体需要を生み出そうとしている。
ADASの代表的な例は、事故を回避するための警告機能や自動ブレーキなどで、現在はレーダーを活用したシステムが主流だ。これが、今後はイメージセンサーを活用したより高機能なシステムに進化して行くことが予想される。ADAS向けの半導体需要は、まだ2000億円前後の規模に過ぎないが、参入企業が増えながら差別化にしのぎを削っており、筆者は今後の動向に注目している。