重久 実は、黒酢を作る甕壷の容量や厚み、形状、飾りは、壷を作る職人さんと、黒酢を作る職人さんが話し合ってできたんです。職人同士のコラボレーションで新しい歴史ができるかもしれませんね。

宇佐美 甕壷職人がいるということ自体に初めて気が付きました。面白いな、それ。

三反田 お二人は、会社を大きくするということについてはどう考えていますか。

福山酢醸造からは桜島が見える(写真:福山酢醸造)
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重久 ウチは、あまり大きくしようとは考えていないですね。200年後に残すという歴史の継続の方が最優先事項です。会社の規模を大きくするには、生産量を増やさなければならないですから。捨てなければならないことが多くなって、結局は長続きできなくなってしまう。スタッフは最大でも100人くらいでしょう。ただ、先ほど話したように新しい路線は常に探していく必要があると思います。

宇佐美 ウチも正社員は最大20人と言っています。あとは、支援するからどんどん独立しなさいと。順繰りで社長になったらいいと思います。今も、私は意識としては社長係です(笑)。そして、グループとしては大きくなっていけばいいんじゃないでしょうか。身の丈に合ったというか、「こんなに小さな会社が、こんなことまでやっているんですか」と言ってもらうという価値観が好きなので。

 経営者を育てて、自分たちと関わった人全員と喜びを共有したいですね。1人で喜ぶより、何人かで楽しく共同作業した方が喜びは大きいじゃないですか。

重久 職人さんや関係者の皆さんと一緒に行く慰安旅行、従業員の皆さんはさらに大変になりますね(笑)。

(写真:加藤 康)
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