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「トレミキシン」開発物語 PART2

敗血症に陥った人たちの命を救う世界初の血液浄化器

2015/02/18 00:00
福山 健=日医文化総研
出典: 「知遊」第10号,2008年7月発行 ,pp.46-55 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

前回から続く

「世界初で、販売開始から14年もたつのにいまだに類似製品もあらわれず、主力製品としての地位を保っている。さぞや卓越した能力をそなえた人びとが集まったプロジェクトだったのだろうと思われがちだが、そうではない」と、かつてのプロジェクト・リーダーは語る。では、開発が成功した最大の要因はなんだったのだろうか。(文中・敬称略)

サテライトシンポジウムで講師を務めたドクターたちと記念撮影。カッコ内は病院所在地と国名。 向かって左からクライン博士(トロント、カナダ)、モンティ博士(ミラノ、イタリア)、小路久敬博士、マイナー博士(ヴィットリア、スペイン)。

トレミキシン記念日

「7月6日はなんの日?」こう聞かれて、答えられる人が何人いるだろうか。

――「この味が いいね」と君が 言ったから 7月6日はサラダ記念日

 神奈川県立橋本高校の国語教師だった俵万智(たわらまち)の個人的な記念日にすぎなかった7月6日は、彼女の第一歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)が280万部ものベストセラーになるに及んで、「サラダ記念日」と称されるようになる。

「現在、7月6日が『サラダ記念日』であるのは、表題作でもあるこの歌集に収められた短歌による」と、フリー百科事典『ウィキペディア』にも記されている。

 一人ひとりの人生の個人史には「記念日」と呼びたいような思い出深い日がある。

 東レ・メディカルの小路久敬(しょうじひさたか)にとって、「2008年3月18日」はそんな日であった。この日、ベルギーの首都ブリュッセルで開催された集中治療と救急医療に関する第28回国際シンポジウム(ISICEM)において、小路らが開発した血液浄化器「トレミキシン」の治療上の効果をアピールするサテライトシンポジウムが持たれたのだ。

 1983年からおよそ25年間、小路は、ポリミキシンB固定化繊維の基本設計・最適化、動物実験実証、治験臨床への企業側担当者としての立会い、国内での事業化に伴う企画・学術・マーケティング、そしてこの10年間進めてきた海外での臨床試験……そのすべてにおける直接の担当者として先陣を駆けてきた。

 ISICEMには、世界50か国から約4500人もの医師や医療関係者が集まる。そのなかでサテライトシンポジウムを開くには、参加者の関心を引くだけのテーマでなければならないし、発表者や発表内容も高いレベルを備えていなければならない。

  小路が共催者であるカナダの診断薬メーカーとともに企画したサテライトシンポジウムでは、カナダのトロント大学のジョン・マーシャル教授の司会のもとで、カナダ、イタリア、スペインの三人の医師が、エンドトキシン血症の診断やトレミキシンを用いての敗血症の治療効果に関係する講演を行った。シンポジウム会場にはトレミキシンに関心を抱く世界各国の医師や研究者が約60人集まり、熱心に耳を傾け、講師と意見を交わした。

会場の展示ブースにはトレミキシンのポスターや資料が置かれている。代理店のスタッフが製品の説明や医師などの質問に答える。

日経デジタルヘルス Special

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